ある特定の人は新型コロナウイルスに感染しない?その驚きの理由とは?
今日この時点で、まだ一度も新型コロナウイルスに感染したことがないという人はごく一部いる。その少数派の人たちが他の大半の人とは異なる点は何だろうか?コロナにかかったかもしれない(あるいはかかるはずだった)にもかかわらず、なぜか感染を免れたというケースは少なくない。すべての謎が解決されたわけではないが、「一度もコロナに感染していない集団」を特徴づけるものは何かというテーマは、現在、主な研究分野となっている。この記事では、なぜコロナに感染していない人がいるのかを説明するために、科学者が研究している説をいくつか紹介しよう。
行動様式が異なるから
マスクの着用やワクチン接種など、ウイルスの感染を減少させることで知られている習慣を忠実に実行する人が一定数いることは、ご存知の通りだろう。米・北コロラド大学のニコラス・プレン生物学教授によると、人前で行われる大きなイベントを避ける人もおり、新型コロナウイルスが流行する以前からそうしていた可能性があると述べている。しかし、それが全貌であるとはいう訳ではない。「皮肉なことにも、私自身もたまたまコロナウイルスにかかったことがない集団の一人であるが、大人数の生徒が集まるクラスで教えている。」と、プレン教授は指摘している。
免疫システムを鍛えてきたから
免疫学者やアレルギー専門家なら誰でも、免疫システムは難しいものだと口を揃えて言うだろう。新型コロナウイルスの予防接種を受けると、症状が軽くなる人と、完全に発症を防ぐことができる人がいる。
研究の進展により、特殊な免疫システムがない場合でも、個人が様々な方法でウイルスから守ろうとすることができると判明している。中には、すでに別のコロナウイルスに感染しており、免疫システムが類似したウイルスを認識し、それに対抗できるようになっている人もいるかもしれない。また、別の研究では、自然免疫系の強い防御力やバリアなど、ウイルスが人体に侵入するのを防ぐメカニズムが感染予防に役立っている可能性があることが明らかになった。他の病気や睡眠不足、不規則な食事などの乱れた生活習慣によって、自然免疫系の機能が低下している場合、ウイルスに感染する確率が高くなるとされている。現時点では、これだという確かな説がないが、現在までに行われてきた研究は有望であり、将来的には新型コロナウイルスや他の疾患の治療法につながるかもしれない。
遺伝的に異なるから
これまでの研究によって、特定の遺伝子多型と、HIVや結核、インフルエンザといった感染症に対する脆弱性との間に興味深い関連性があることが分かっている。当然ながら、専門家や研究者たちは、新型コロナウイルスにそのような変異が存在するかどうかを疑問視していた。2021年6月に発表されたある非専門家による研究では、ある遺伝子変異と新型コロナウイルスにかかる確率の低下との関連が発見された。2021年10月には、片方が発病してもう片方が発病しなかったカップルを対象とした大規模調査が行われた。「パンデミックでは、遺伝子の多様性に埋もれた抵抗力が選ばれることがよく知られているので、私の予想では、何かしらのサインが判明すると思う。」とプレン教授はコメント。しかし、たとえ自信を持ってそのような変異を発見できたとしても、それは珍しいことだというのが大半の専門家の見方だろう。
当面は、新型コロナウイルスに感染したことがない人も、他の人と同じように脆弱だと考えるべきだろう。なぜまだ発症していない人がいるのかはともかく、最大の予防策はワクチンを定期的に接種し、ウイルスとの接触をなるべく避けることだ。このウイルスについては、新しい何らかのことが毎日のように発見されているが、唯一確かなことは、私たち人間は生き残っていかなければならないということだろう。