ロシアとの経済紛争が深刻化

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2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した後、爆弾やミサイルで世界経済が崩壊することはないだろうと、世界市場は落ち着いているが、銃撃戦と並行して行われている経済戦争の激しさはより増しており、投資家はさらなる注意力を向けるように強いられている。

ロシア・ウクライナ紛争に関する分析のほとんどは、ウクライナ東部と南部における侵攻軍と防衛軍の厳しい地形での戦いに焦点が当てられているが、それと同様に重要なのは、ロシア経済を締め付けようとする世界的な試みである。具体的には、ロシア軍を支えるオイルマネーを減らし、軍備の維持と補充に必要となる外国のテクノロジーへのアクセスを拒否することだ。経済戦争は、戦車や大砲などを用いる戦争と同じように、長く辛抱強く耐えた者が勝ち残る、いわば消耗戦なのである。

今まであり得ないと思っていたことが現実になってきており、経済戦争はますます加熱している。ウクライナが勝つかもしれないのだ。バイデン米大統領は、ウクライナ支援に330億ドルの追加予算を議会に要請する意向を示した。これは、これまでに米国が支援してきた額の10倍に相当する額だ。典型的な控えめなロイド・オースティン米国防長官は、ウクライナの勝利を確実にするために米国とNATOが意図的にロシアを弱体化させているとコメントしている。紛争当初、ウクライナのパートナーが供給を躊躇していた戦車や大砲などの重火器が、やがてウクライナに提供されるかもしれない。

一方、ロシア側は報復として、ポーランドとブルガリアに対し、天然ガスの供給を停止した。これは、ウクライナを支援する国への罰則としてこれまでで最も厳しい措置であり、ロシアがさらなる脅威を感じた場合には、ガスの供給を強化するか、あるいは完全に停止する可能性を示唆するものであった。米ユーラシア・グループ社は4月27日の報告書で、「NATO、ロシア、ウクライナの3者すべての紛争は悪化している。憤りが増すにつれ、さらなるエスカレーションが起こる可能性が高くなる。」と注意を促している。

ポーランドとブルガリアは、ロシアの天然ガスがなくても問題ないと思われるが、ロシアとそのエネルギー企業は、石油と天然ガスの輸出をすでに”脅迫手段”にし始めており、これは紛争開始時に専門家が想定していた最も懸念される可能性のひとつであった。ロシアが他のヨーロッパ諸国や大陸全体への天然ガス輸入を停止すれば、ヨーロッパの物価は上昇し、不況に陥る可能性が高い。ヨーロッパの有権者数百万人は、日常生活が危険にさらされることで、ウクライナ支援への支持を弱めることになると考えられる。

と同時に、ヨーロッパ各国政府は、ロシア産の天然ガスよりも容易に代替できるロシア産の石油を徐々にボイコットしていくことを検討しているが、ロシア産の石油の禁輸が拡大すれば、世界全体の物価が上昇し、ヨーロッパや米国などではインフレが進行するだろう。

国際金融研究所によれば、ロシア産の石油が全面的かつ段階的に禁輸された場合、石油価格は1バレルあたり200ドルに達する可能性があるとされている。インフレ調整後ベースで、米国の原油価格がその水準に達したのは、大規模な不況に見舞われた2008年のことだ。当時は原油価格以上に他のものが経済に影響を与えたが、今はエネルギー以外のインフレや、金融緩和政策から引き締めへの素早い移行など、新たな課題に直面しているといえる。